フロントガラスのヒビは交換で対処すべき?交換にかかる費用・時間について解説
修理・交換の選択基準
飛び石などによりフロントガラスにヒビが入ってしまった場合、フロントガラスの交換だけでなく修理も選択肢として挙がってくると思います。費用を考えると交換よりも修理の方が安くなるので、できるだけ修理で対応したいという方が多いでしょう。
そこでまずは、どれほどのヒビなら修理ができるのか、どれほどのヒビから交換した方がよいのかを判断するためのポイントについて解説しておきましょう。
交換が必要な症状
フロントガラスにヒビが入った際、交換が必要になってくる症状は次の3つです。
- ヒビが10円玉より大きい
- ヒビがフロントガラスの端にある
- ヒビが運転に支障の出る場所にある
それぞれの症状については次項にて詳しく解説していきますが、これらの症状に当てはまらないのであれば修理で対処しても、普段の運転に問題ない仕上がりになるでしょう。
ヒビが10円玉より大きい
フロントガラスのヒビは修理することもできるのですが、全てのヒビを直せるという訳ではありません。修理・交換の基準としてよく言われているのが、傷の大きさが10円玉より大きいかどうかです。10円玉をヒビに当ててみてもヒビが見えるようであれば、交換すべき傷である可能性が高いです。
ヒビがフロントガラスの端にある
ヒビの大きさが10円玉より小さくても、ヒビがフロントガラスの端にある場合も交換が推奨されます。具体的にはフロントガラスの上部と左右は端から4cm、下部は8cm以内にあるヒビを指します。フロントガラスの端部は走行中の振動を強く受けてしまうので、修理をしても再びヒビが入ってしまう危険性が高いです。
また、ガラスも他の物質と同様に温度変化によって膨張・縮小しているので、デフロスターが直接当たる下部については交換が推奨される範囲が広くなっています。
ヒビが運転に支障の出る場所にある
運転に支障の出る場所にヒビや修復跡があると安全運転を維持できないうえに、車検にも通らない可能性があります。フロントガラスの車検の審査基準として、「運転席の視野が確保されていること」が条件の一つとして定められています。このように曖昧な基準となっているので、たとえ同じヒビであったとしても車検時の検査員によっては通ったり通らなかったりします。
実際に運転に支障が出ると感じるヒビが入ってしまった場合、そのヒビは10円玉よりも大きなサイズであることが多いです。視界不良による交通事故を起こさないためにも、早急に交換の手配を進めていきましょう。
修理と交換それぞれのメリット・デメリット
フロントガラスのヒビの修理・交換にはそれぞれメリット・デメリットがあります。メリットにばかり目が行きがちですが、デメリットも理解して納得したうえで選択しないと後悔するかもしれません。
そこで本節では修理と交換のそれぞれのメリット・デメリットを分かりやすくまとめます。まずは修理のメリット・デメリットをまとめていきます。修理のメリット・デメリットは次の表の通りです。
メリット | デメリット |
---|---|
・費用が安い ・施工完了までが早い |
・強度が弱くなっている ・傷跡が残る可能性がある |
修理は傷があった箇所を対象に施工するので、交換と比べると費用をかなり抑えることができます。
また、フロントガラスの取り寄せの時間も不要なので、比較的早く施工が完了します。ただし、あくまで修理なので、施工によってヒビが入る前の強度・見た目に戻る訳ではありません。車の使用で傷が広がってしまう可能性もありますし、傷によっては跡が残ってしまう可能性もあります。これらのデメリットに少しでも不安を感じる場合は、交換することをおすすめします。
次に、交換のメリット・デメリットをまとめていきます。交換のメリット・デメリットは次の表の通りです。
メリット | デメリット |
---|---|
・傷の拡大を気にしなくてよい ・運転視界に影響がない |
・費用が高い ・施工完了まで時間がかかる |
交換によって新しいフロントガラスになるので、強度や傷跡の心配はなくなります。小さな傷でも気になってしまうという方は、安全運転をしていくためにも交換してもらうことをおすすめします。ただし、修理に比べると必要になる費用は高くなってしまいます。
また、フロントガラスの取り付けには接着剤を使用するので、施工時間に加えて固着までの間、車を使用できなくなります。さらに、年式の古い車に乗っている方などは、店舗に在庫がないことも考えられます。在庫がない場合は商品の取り寄せにも時間が必要となるので、さらに施工完了までの時間が長くなってしまいます。
交換にかかる費用
フロントガラスの交換にかかる費用の内訳は、大まかに次の2つです。
- フロントガラス代
- 交換作業料(工賃)
工賃は車種による差は大きくありませんが、フロントガラスの代金は車種よる差が大きくなってきます。車種ごとのフロントガラス料金の相場は下記表の通りになります。
車種 | 費用相場 |
---|---|
軽自動車 | 6万円~9万円 |
小型乗用車 | 6万円~9万円 |
中型乗用車 | 7万円~10万円 |
大型乗用車 | 9万円~13万円 |
ワンボックス・RV | 10万円~15万円 |
また、フロントガラスにも純正品や輸入品などの種類があり、この種類によっても費用が変わってきます。軽自動車と普通自動車の場合の区分けとなりますが、フロントガラスの種類別の費用相場は下記表の通りです。
ガラスの種類 | 軽自動車 | 普通自動車 |
---|---|---|
純正品 | 9万円~14万円 | 10万円~18万円 |
国内優良品ガラス | 6万円~10万円 | 8万円~13万円 |
輸入品ガラス | 5万円~9万円 | 6万円~11万円 |
高性能断熱ガラス | 7万円~11万円 | 9万円~15万円 |
本章で紹介した費用はあくまで一例ですので、実際に業者に見積もりをしてもらう時などに参考にするなどしてご活用いただければと思います。
交換にかかる時間
フロントガラスの交換作業にかかる時間は約60分~90分です。交換作業が終わってもフロントガラスの固着に使用した接着剤の乾燥時間が必要になります。接着剤の乾燥には3時間~4時間かかるので、半日~1日あれば交換後の車を運転できるようになります。半日でも車がないと不便だという方は、代車を利用できないか事前に確認しておきましょう。
また、交換作業を依頼した時間によっては翌日の受け取りとなることもあります。スケジュールが限られているという方はそれを考慮して依頼するか、朝一に依頼して当日中に受け取れるようにするなどの工夫が必要となります。
自動車保険は交換時に使用できるか
フロントガラスのヒビを交換で対処したくても、費用が高くて困っている方は自動車保険の使用も検討してみてください。契約内容によっては、フロントガラスにできた傷の修理・交換対応は保険適用外であることもあるので、ご自身の契約内容を今一度ご確認ください。
また、自動車保険が適用されるとしても、自動車保険を使用しない方が総負担費用を抑えられることがあります。フロントガラスの修理・交換が自動車保険の適用範囲内である方は次の2点に注意して使用を検討してみてください。
- 免責金額はいくらか
- 翌年の保険料がいくらになるか
それぞれの注意点については次節にて解説していきます。
免責金額の確認
フロントガラスの修理・交換は自動車保険の保証の一つである車両保険を使用することになります。車両保険を契約内容に加えると保険料金が高くなりやすいので、少しでも安くするために車両保険使用時の免責金額を設定している方もいらっしゃるのではないでしょうか。免責金額とは自己負担額のことを言います。
例えば10万円の免責金額の設定で15万円の交換費用が発生した場合、自己負担額は10万円、保険金として5万円を受け取ることになります。全額保険金で対応できると思っていると、想定上の負担が生じてしまうので要注意です。
翌年の保険料
飛び石によるフロントガラスの破損について、かつては等級据え置き事故として扱われていました。つまり、フロントガラスの修理・交換に自動車保険を使用しても翌年度の等級に影響は全くなかったのです。
しかし現在ではフロントガラスの修理・交換に自動車保険を使用すると等級が一つダウンしてしまいます。特に長く自動車を運転されている方は等級がダウンしてしまうことにご注意ください。また、等級が一つダウンすることに加えて一年間は「事故有係数」が適用された保険料金となってしまいます。
「事故有係数」が適用されると、同等級の保険料と比較して1.5倍程度高い保険料になってしまいます。自動車保険は契約者の年齢や年間走行距離などさまざまな条件から決定されているため、適用後の正確な保険料を自分で算出することは困難です。自動車保険の担当者であれば正確な保険料を元に、修理・交換費用に保険を使用するべきかどうかのアドバイスが可能です。費用で悩むことがあれば契約している自動車保険の担当者や会社に相談してみてください。
まとめ
本記事では、フロントガラスのヒビは修理・交換のどちらで対応すべきかについて、判断基準や修理と交換それぞれのメリット・デメリットを挙げて解説してきました。どちらの方法で対処するにしても、デメリットを把握したうえで依頼するようにしましょう。
フロントガラスの交換にかかる費用・時間の目安についても併せて紹介しているので、実際に見積もりを取る時などにご活用ください。