フロントガラスの傷はリペアキットで直せる?リペアのリスクと保険適用の有無
フロントガラスは頑丈で硬そうに見えても、ヒビ割れが生じるケースは珍しくありません。
多くの場合、運転中に突然飛んできた石がヒビの原因ですが、ほかの要因でもヒビが入ることがあります。
小さなヒビであれば、すぐに修理しない方も多いのではないでしょうか。
しかし、放置すると大きくなることもあるため、早めに対処することが大切です。
そこで、フロントガラスが破損する原因や、自分で行えるリペア方法、プロに任せるべき傷と自分で修理できる傷の見分け方などを紹介します。
リペアのメリット・デメリット
フロントガラスのリペアを自分で行うべきか、悩む方もいるでしょう。
ここでは、自分で修理すべきかどうかを決める材料となる、リペアのメリットとデメリットを紹介します。
メリット
メリットは、ガラス交換の半額以下の出費に抑えられること、30分~1時間程度と短時間で修理できることです。
自分でガラスを修理・交換する方法は、最も出費を抑えられるという利点があります。
リペアキットには使い方の説明書や使用している動画が掲載されていることが多いため、説明書通りに行うだけで簡単に直すことが可能です。
また、ヒビをすぐに修理することで、視認性と強度が大幅に向上します。
さらに、車検検査官の基準によるものの、フロントガラスの傷をリペアしておくと車検に通ることもメリットとして挙げられるでしょう。
デメリット
自分でフロントガラスのリペアをすると、ヒビが悪化はしないものの、100%完璧に修理できているとは限りません。
フロントガラスの傷が浅く小さく見えても、実は深かったり、リペア不足ですぐに傷が広がってしまうというデメリットがあります。
また、リペアキットなどで一時的に補修できても、美しい仕上がりにはなりにくく、満足のいく仕上がりにならない可能性も高いです。
フロントガラスの強度は、元の70~80%程度にしかならないと理解しておきましょう。
なお、フロントガラスを購入して自分で交換する方もいますが、取り付け方が悪いと走行中に外れることもあり、結局、プロに修理を依頼することになるでしょう。
取り付けが悪いと事故のリスクが非常に大きく、業者に依頼するよりもトータルの費用が高くなる可能性があるため、おすすめできる方法ではありません。
フロントガラスのリペアは自分でもできる?
フロントガラスの一部が割れても、すぐにガラス全体に広がって割れるわけではありません。
軽微な破損で運転が可能な場合は、一定期間運転を続けるために、リペアをしましょう。
リペアキットの仕組みはシンプルで、ヒビなどの傷の隙間に樹脂を流し込んで目立たなくするというものです。
フロントガラスは2枚のガラス(合わせガラス)でできており、ヒビが入っても傷つく部分はフロントガラスのみです。
そのため、樹脂を流し込むと傷を簡単にリペアできます。
なお、「多少の傷であればリペアせずに乗り続けてもよいのでは」と考える方もいるのではないでしょうか。
しかし、フロントガラスが割れたまま乗り続けることは道路交通法違反です。
フロントガラスが割れた際は、たとえ小さな傷であっても、すぐに最低限の応急処置をしなければなりません。
リペアキットについて
フロントガラスリペアキットは、石などで割れたフロントガラスを補修するための道具です。
使い方が簡単で、小さな傷は簡単に補修できます。
リペアキットは様々な商品が販売されており、傷の大きさ、傷の場所、車種、ボディの色などから適切な製品を選ぶことが大切です。
商品によって作業のしやすさや仕上がりの良し悪しも大きく異なるため、口コミや使っている方の動画などを見て事前に調べておきましょう。
リペアキットで直る傷・直らない傷
車のフロントガラスに傷がついた場合、「交換しないと直らない」と考える方もいます。
大きな傷や損傷がある場合は、フロントガラスを交換する必要があるかもしれません。
しかし、傷の場所や小さな傷はリペアキットで直る可能性があります。
リペアキットで直る傷
リペアできる傷の基準は、直径1.5cm以内かどうかです。
1.5cm以上の傷の場合は、フロントガラスの交換をしましょう。
また、傷の位置によってはリペアできない場合もあります。
リペアキットで直らない傷
1.5cmまでのヒビ割れであれば、一般的にリペアキットに含まれる補修液で埋めることができます。
1.5cm以上のヒビ割れを自分で補修すると、きれいな仕上がりにならない可能性が高いです。
ガラスリペアキットは数千円で、安価に傷補修ができるためお得です。
しかし、リペア液やレジン液を正確に注ぐことが難しく、慣れていない方がやると傷を悪化させる危険性があります。
フロントガラスの傷は浅く見えても、実は深い場合も多いです。
知識や経験がない方が、フロントガラスの深い傷をきれいに修復することは不可能といえるでしょう。
そのため、プロに依頼したほうがよいでしょう。
リペアに失敗すると交換の必要がある
リペアキットで失敗し、損傷が悪化した場合、最悪のケースではガラスを交換する必要があります。
再修理はプロでも難しく、仕上がりも悪くなるため注意しましょう。
また、ヒビ割れの状態によっては、プロでも修理できない場合もあります。
- ヒビの大きさが2cm以上
- ガラスにへこみや欠けがある
- 端から10~20cmの範囲にヒビが入っている
上記に当てはまる場合は修理ではなく、ガラスを交換します。
修理したつもりでも、小さなヒビや傷は、温度や振動の影響で時間とともに悪化するケースは珍しくありません。
また、1度修理したガラスを再び修理できないことが多いです。
2度目以降は修理ではなく、ガラスを全面的に交換しなければならないのです。
リペアキットで完全に修復できる自信がない場合は、専門家に修理を依頼した方が長い目で見ると安くつく場合もあります。
ヒビ割れを見つけたら、応急処置のみを自分で行い、すぐにガラスのプロに修理を依頼すると安心です。
業者にリペアを依頼した場合の費用
フロントガラスの修理費用は、車種によって異なります。
リペアを依頼した場合の工賃の費用相場は次のとおりです。
- 軽自動車:約15,000円~20,000円
- 普通車:約15,000円~25,000円
- ワゴン:約20,000円~25,000円
- トラック:約22,000~27,000円
- 輸入車:約20,000円~30,000円
フロントガラスの修理費用は、車の大きさや車種によって大きく異なります。
高い場合でも20,000円程度であり、リーズナブルに修理できることがわかります。
ディーラーは割高だが安心感がある
カーディーラーは、自動車修理工場やカー用品店よりも部品代や工賃が高い傾向があります。
ディーラーにフロントガラスの修理を依頼した場合の費用は、相場より約5,000円~10,000円高くなると理解しておきましょう。
しかし、カーディーラーでリペアしてもらうと、経験と知識が豊富なスタッフがいる、保証があるなどの安心感があります。
予算や自分が重視したいことなどを明確にして、依頼する場所をえらびましょう。
フロントガラスの交換費用
フロントガラスの割れや傷がひどく、交換が必要な場合は費用がかかるでしょう。
交換にかかる費用は次のとおりです。
- 軽自動車:約5万円~7万円
- 普通車:約7万円~9万円
- 輸入車:約10万円~15万円
フロントガラスの交換が必要な場合、リペアの約5倍以上の費用がかかります。
純正フロントガラスに勝るものはありませんが、輸入ガラスという選択肢も有効です。
輸入ガラスは、リーズナブルな価格と良好な品質であり、純正フロントガラスは高額ですぐに対応できない方にも適しています。
輸入ガラスでも、紫外線をカットするタイプや、エアコンの効きを良くするエコガラスなどを選択可能です。
保険適用と注意すべきポイント
フロントガラスの修理や交換が必要な場合でも、費用が高すぎるため、すぐに対応できない方もいるでしょう。
フロントガラス交換は、車両保険が適用されます。
修理代を支払うことが困難な場合は、保険の利用を検討しましょう。
しかし、車両保険に加入していない方は注意が必要です。
車両保険に加入していない場合、フロントガラスの交換費用は全額自己負担となります。
保険を利用する際の注意点
車両保険を使用すると、翌年の等級が1等級ダウンし、1年間は自賠責係数が適用されます。
つまり、翌年の保険料が高くなり、等級の進行も遅くなるのです。
保険料の上昇を考えると、修理代が少額であれば、保険を使わず自己負担にした方がトータルで安くなる場合もあります。
判断に迷った場合は、保険会社や代理店に相談する方法がよいでしょう。
フロントガラスの破損は早めに対応しよう
フロントガラスの傷やヒビ割れは、「保険会社に連絡して修理してもらうのは面倒」、「飛び石によるものだから仕方ない」と考えて放置する方もいます。
しかし、走行中の振動、風圧、温度差などによって傷やヒビ割れが拡大し、修理費用がかさむ可能性が高いです。
また、フロントガラスに傷やヒビ割れがあると、車検に通りません。
車に乗り続けたいのであれば、修理して車検を通す必要があります。
さらに、車検時に「修理が必要」と言われても慌てないように、早めに修理しておきましょう。