フロントガラスに出来たひびを放置しても大丈夫?車検は通る?
車を運転していると、突如フロントガラスにヒビが入ることがあります。
多くのドライバーが「小さいヒビなら放置しても大丈夫だろう」と考えがちです。しかし、実際にはどうなのでしょうか?今回は、フロントガラスのヒビを放置することのリスクやその後の対処法について詳しく解説していきます。
フロントガラスのひびの原因
ひびの原因は大きく3つ
フロントガラスのひびはさまざまなことが原因で発生する可能性があります。
石や他の小さな物が高速で飛び込んできたり、温度変化による伸び縮みを繰り返したり、車体の変形や衝突によるダメージなどです。
いずれにしてもフロントガラスのひびには普段から注意しておくことが重要です。
ひびは放置しても大丈夫?
放置すると悪化してしまうことが多い
フロントガラスにひびが入った場合、放置しても大丈夫なのでしょうか。
結論から申しますと、フロントガラスにひびが入った場合に放置することはおすすめすることはできません。
ひびが視界の安全性を妨げると判断されると車検は通りませんし、整備不良車両の運転と判断されると道路交通法違反となってしまいます。
車検や安全基準をクリアするためにフロントガラスのひびを修理することが必要となる可能性があります。
また、走行中に悪化したひびによってフロントガラスが割れてしまう危険性もあるので、注意が必要です。
放置するとどうなるのか
車のフロントガラスのひびを放置すると、予想以上に悪影響が及ぶことがあります。
ひびを放置した場合の潜在的リスクについて解説します。
安全性の低下
まず、フロントガラスは車の構造上、非常に重要な役割を果たしています。
それは、乗員の安全を確保するためのバリアの役割であり、外部の風や飛び石、さらには衝突時の乗員の保護など、多岐にわたる機能を持っています。このため、その性能が低下すると、非常に重大な安全上の問題が生じる可能性が高まります。
また、ひびが入っている状態では、ガラスの強度が著しく低下している可能性があります。これは、例えば何らかの外部からの衝撃があった場合、ひびの入ったガラスが簡単に割れてしまうことを意味しています。このため、小さな衝突や、飛び石の衝撃などでも、ガラスが破損するリスクが高まります。
フロントガラスは車体の一部としてもその構造的な強度を維持する役割を果たしています。ひびや割れが進行することで、その構造的強度が低下すると、衝突事故などの際に車体の変形が大きくなる可能性があり、乗員の安全をさらに危険にさらすことになります。
ひびの拡大
一度ひびが入ると、温度変化や振動、衝撃などでひびが徐々に拡大する可能性があります。
車のフロントガラスは、通常、2枚のガラスの間に樹脂膜を挟んで圧着した合わせガラスになっていますが、強度を持ちつつも衝撃にはやや脆いという特性があり、ひびが入ると、この構造が影響して、ひびが進行しやすくなります。
日常的な運転中にも、エアコンやヒーター、外気温の変動など、さまざまな要因でガラスの温度が変わるため、ひびの拡大を引き起こす原因にもなります。
また、ひびの入った部分に水が入り込むと、その水が温度変化により膨張や収縮を起こすことで、ひびをさらに広げることがあります。
運転中の視界の悪化
車のフロントガラスは、運転手の視界を保護し、明確にするための非常に重要な部分です。しかし、ガラスにひびが入った場合、運転中の視界が悪化することがあります。
ひびが入ったガラスは、光の屈折を正常に行いません。その結果、日光や対向車のヘッドライトがひびを通過する際に異常な反射や屈折を生じ、ドライバーの目を眩ませることがあります。
また、ガラスの表面が不均一になり、遠くの物体や道路の状況を正確に認識しにくくなることがあります。これは特に、曲線や坂道、交差点など、運転に集中が必要な場面で問題となることが多いです。
経済的損失
ひびが広がり、結果的にガラス全体の交換が必要になると、修理費用が高額になることが予想されます。
初期のうちは小さなひびやキズでも、そのまま放置することで拡大や深化することが多いです。
小さなひびならば、部分的な修理やレジンを使った補修で済むことが多いのですが、ひびが広がってしまうとフロントガラス全体の交換が必要となることがあり、それに伴い修理費用が大幅に増加します。
再販価値の低下
車を売却する際、その状態は再販価値に大きく影響します。フロントガラスのひびは、この再販価値を低下させる要因の一つとなります。
車の外観は、売却時の第一印象を大きく左右するのでフロントガラスにひびがあると、車が過去に事故や大きな衝撃を受けたという印象を与え、購入希望者の評価を下げる可能性が高まります。
また、フロントガラスのひびは、その車の安全性を損なう恐れがあるため、購入希望者は、安全性を重視するため、ひびがある車を避ける傾向があります。
すぐに修理した場合の費用相場
ひびの大きさが10円玉より小さい範囲のものであれば修理が可能であることが多く、これより大きな場合は交換になる可能性が高まります。
また、ガラスの端から10センチ以内にあるひびの場合は、振動の影響を受けてひびが伸びてしまう可能性があるので修理が難しい場合もあります。
全体的な費用相場としては10,000円から30,000円程度になることが多いです。
ディーラーに依頼した場合は20,000円から30,000円程度が相場となり、修理専門店に依頼した場合はもう少し低めの10,000円から20,000円程度が相場となります。
修理時間はガラスリペアの場合、1時間ほどで完了する場合が多いです。
放置して悪化した場合の修理or交換費用相場
万が一、フロントガラスのひびを放置して悪化してしまった場合、修理が不可能かもしれません。
悪化した結果、10円玉より小さいサイズかつガラスの端から10センチ以上離れたところにある場合は、10,000円から30,000円程度で修理ができることが期待できます。
しかし、これ以上ひびが拡大してしまった場合は、フロントガラスを交換する必要があります。
フロントガラスの交換費用は、純正品で10万円を超える金額、社外品のフロントガラスの交換の場合には80,000円程度の金額がかかってしまいます。
ただし、車のメーカーやモデル、紫外線カット、遮音性などの機能付きなどのガラスのタイプによって価格が変動します。
高級車や輸入車の場合、それ以上の費用がかかることもあります。
車検は通るのか
フロントガラスには安全基準があり、道路交通車両法29条および道路運送車両の保安基準の細目を定める告示第195条の法令で定められています。
「運転中の視界が確保されていること」、「定められた強度のある合わせガラスであること」という要件をクリアしている必要があります。
運転席の前の視界に影響を及ぼす位置にひびがある場合、車検に合格しない可能性が高いです。
特に、直接の視界を妨げるようなひびは問題となり、ひびの長さや形状、分岐しているかどうかなども車検の判断基準となります。
ひびやキズがガラスの強度に影響を及ぼしていると判断される場合、安全性の観点から車検に通らない可能性があります。
表面のみ擦ったような小さな傷で運転手の視野の妨げにならないと検査官が判断した場合には、車検に合格するというケースはありますが、表面のみ擦ったような小さな傷ではなく、深く黒いすじが入ったような傷が出来ることもありますがこの場合は車検に合格しないケースがほとんどです。
実際に合格とするか不合格とするかは、検査官の判断次第になるため、一概にこの場合は通る、この場合は通らないとは言えませんが、ひびは放置しておくと拡大していくので修理するべきです。
フロントガスのひびの対処方法
車検や安全基準をクリアするためにもフロントガラスのひびは放置するべきではありません。
具体的な対処方法をいくつか解説します。
市販の修理キットを利用する
市販の修理キットを利用することで、自分で簡易修復することが可能です。
ひびの汚れをしっかり落としたうえで、専用の注射器で補修液を注入し乾燥させて、仕上げにはみ出した部分をカットすることで補修します。
綺麗に修復できなかった場合は車検が通らない場合もあるため注意が必要です。
専門のショップで修理する
ひびが小さいうちに専門のショップで修復することをおすすめします。修復キットを使用したDIY修復も一定の効果はありますが、プロの技術による修復が最も確実です。
ひびが大きくなるとプロによる修復も難しくなるため、早めに相談しましょう。
フロントガラスの交換
ヒビが大きくなった場合や、修復が難しい位置にヒビがある場合は、フロントガラスの交換を検討しましょう。交換は費用がかかるものの、安全性を維持するためには必要な作業となります。
保険の利用手続き
多くの自動車保険は、ガラスのヒビや割れに関する修理費用をカバーしています。保険の内容や補償の範囲を確認し、適切な手続きを行いましょう。
フロントガラスのひびは放置せずに適切な対応をしよう
私たちが日常で乗る車は、多くの安全装置や機能を持っており、その一部として非常に重要な役割を果たしているのがフロントガラスです。
突然の飛び石や急な温度変化により、このガラスにヒビが入ることは珍しくありません。しかし、たとえ小さなヒビであっても、その放置は大きなリスクを伴います。
車検に通らないケースもあるため、専門業者にすぐに相談するなど、適切な対応をして安全基準をクリアすることが大切です。